クリスマス

 クリスマス。「恋人同士で聖夜を‥‥」なんて雰囲気は全く無くて、日本の正月のように家族行事。24日の午後から半日と第一クリスマスの25日、第二クリスマスの26日がそれぞれ祝日となる。24日は翌朝まで、母から紹介してもらった同い年くらいのバイオリニスト、エリーザとそのご近所さんの中国人夫婦と過ごした。アマチュアにしろプロにしろ、音楽をやる人は礼拝で演奏するから、クリスマスは結構忙しく、彼女の様に帰省できない人もいる。夫婦の旦那さんは理系研究所にお勤めで、ドイツ語が出来ない。エリーザはアメリカに留学していたそうで、英語完璧。ということで、英語漬けの聖夜となりました。メインディッシュはご飯にキムチチゲ(やたら酸っぱかった)、中華風炒め物(やたらキッツイ胡椒が効いていた、舌が麻痺するほど)。全くもって、ドイツらしさがないながらも、この国を共通項にして引き寄せられた人々が集まったという、一風変わったイヴでした。そしてちょっと素敵だったのが、奥さん以外の3人でバルコニーでヤニった時のこと。澄んだ空気に煙の筋を描きながら、「きよしこのよる」のメロディーをハモりました。身が縮むマイナスの世界に音楽の光が灯る‥‥。そして、奥さん、私より若くて建築を学んでいるそうなんだけど絵がとても上手で、いつの間にか映画を観ているエリーザと私の姿を細い黒ペンで描いていて、ガラスケースに入れてプレゼントしてくれました。私の部屋の第一装飾品として、さっそく壁にかけました。

 25日はライプツィヒから車で一時間くらい行った街、ドレスデンへ移動。今回、初めて「相乗りシステム(Mitfahrzentrale, Mitfahrgelegenheit)」というのを利用した。ウェブサイトで「いつ、どこからどこへ」と条件を入力して検索すると、ズラッと一覧が出てくる。時間や値段など気に入ったのを選び、電話やメールなどで連絡を取る。見も知らぬ人とのドライブとなる訳だけど、ドライバーは皆、本名と電話番号、住所を登録しているので、特に心配はいらない。車だけでなく、「列車のグループチケットを割り勘しませんか」という申し出もある。5人まで鈍行に乗れるチケットがあって、それを最大限に利用しようと言うわけ。駅でチケット買おうとしてると、「そっち方面行くなら、割り勘しない?」って声を掛けて来る人もいる。いずれにせよ、120キロほどの距離を、正規の鈍行料金で20ユーロはする所を5〜6ユーロ(700円弱〜800円)で移動できるのだから、かなりお得な制度と言える。ルームメイトのクリスティアンも、車で遠くに行くときは、必ず誰かしらを拾ってるそうだ。至ってドライに、お互いの利益を補いながらこういう制度が機能している。

 さて、第一クリスマスは、出張でよく東京にも来る知り合いのお家に招かれ、孫までの3世代で遅めの昼食。アヒルのグリルにジャガイモ団子、ソース。次の日は以前うちに招いたことのある、面倒見の良い、実直そのものなおじさんの家族と食卓を囲んだ。メニューは写真の通り。パンの変形物に、肉、マッシュルームとインゲンの付け合わせ、ソース。しかしこの写真はドイツのある大事な鉄則を遵守していない。その鉄則とは「料理はソースの中で泳がなくてはならない」。両家の人々、かけるはかける、ソースをダボダボと。ヒタヒタというかビチャビチャじゃん、それじゃぁ、っていう位にソースをたっぷりかけていただくのがドイツ流。両日共に天気が良かったので、散歩に出かけ、カフェタイムを楽しみ、プレゼントを交換。

 それにしてもドイツ人、食うねぇ。食べる量が本当に、半端じゃない。しゃぶしゃぶとかすき焼きという食文化が発生する訳がない。ジャガイモ団子が大きめのお握りくらいの大きさで、モチモチしてて、結構ヘヴィなんだけど、一人2個は食べてたよ。あと、様々なクッキーを中心としたお菓子。こんなに食べきれるわけ無いじゃん、いくら大人数でもと思ってたら、みるみるうちに吸収されて、器はほぼ空に‥‥。ガキも自分の拳大の焼き菓子をペロリと平らげ、更にチョコレートでコーティングされたお菓子をパクパク。そりゃぁ、太りますわ、育ちますわ、デカイわけだわ。とか観察している自分も、このクリスマスの怒濤の脂&砂糖攻撃によってすっかり肥えてしまったようです。っつうか、その前に既に太っていたようで、クリスマスの写真を見ると、自分、ちょっとふっくらし過ぎじゃぁ‥‥。

 三日間、家族の住む国を離れ単身ドイツへやって来た私を皆、暖かく歓待してくれました。新たな出会い、そしてさらなる世界の広がりを予感させる、キラキラと輝く日々を過ごすことが出来ました。


クリスマスタワー。


食事



雪だるまの体内でお香が焚かれている



いただいたもの。アーニーもリトルミイも満足げ