家探し

schaumlos2008-12-11


 ドレスデンの友人の所に滞在しながら、ドレスデンから列車で1時間半行ったところにあるライプツィヒという街で、家探しをした。実家住まいでないドイツの学生は殆どみんな、ルームシェア。家賃が安く済むし、必要な家電を一から買いそろえる必要がない。
 12月4日木曜日、ネットでルームシェアの空き情報を得て電話をし、金曜日に一カ所、見に行く約束を取り付けた。候補に挙げた住まいのリストを印刷し、フルに充電した携帯を持ってやる気まんまんで午前九時半にライプツィヒに到着。携帯用のプリペイドカードを買っておこうと、携帯ショップに入る。で、自分の持っている携帯に入っているカードを見せるために、電源を切った。で、切った瞬間「しまった!」。電源を入れ直すたびにコードを入力しなきゃならないんだけど、そのコードを覚えてないのだ。一日が潰れた、と言っても過言ではない。駅にある公衆電話で何軒か電話をしてみたが、通じなかったり既に埋まっていたりで、なかなか、見に行く約束をするところまで到達しない。家探しのためだけに携帯を買ったというのになんたる失態。ほんっと、アホだ。約束はしかし、夕方の五時。仕方ないので、街をプラプラしたり、必要もないのに家電を見たり、バーガーキング数独をやって時間潰したり、ネットカフェでメールを見たり、お母さんに頼まれた用事を済ましたり、とにかく夕方まで時間を潰す。
 約束の時間よりちょっと早かったけど、ベルを鳴らした。越して来てまだ二ヶ月という女の子が、家の中を全て見せてくれた。ここの特徴はまず、家賃が安い。それと、寝るところと書斎スペースが分かれている。共有スペースである風呂場とキッチンを覗いて、普通に満足。一段落付いたところで、もう一人の同居人を紹介してくれることになった。彼女の部屋をノック。わひゃ! デブだ! 部屋は満足だけど、デブと共同生活できるかがもの凄く不安。けど、決まれば大変有り難い。別の所に電話した時、「もう部屋は空いてないんだ。今日の午後、見に来た人とお茶をして、その人に決めたので」と言われたから、うまく行けばその場で決まるもんなんだろう。しかし「まだ、他にも来るかも知れないから、返事は来週末まで待って」とデブ。ただ、手応えはあった。というのも、大学の新学期はもう始まっているから、この時期に引っ越してくる人はあまりいないのだ。とはいえもちろん、条件の良い住まいはどんどん埋まって行く。
 そんなにすぐ決まる訳ないよなぁ〜、と駅へ向かった。そしてドレスデンへ戻り、七時半からのコンサートに駆け込む。私が大好きなバッハのクリスマスオラトリオを、フラウエン教会で聴くことができた。なんたる幸せ。響きが最高。この日の失敗やら、部屋が決まっていないことの不安やらは教会の外に置いて、音楽を堪能。
 翌日、ドレスデンからいくつか電話を入れ、2つ、夕方に見に行くことになった。一カ所目は部屋が比較的小さくて、それ故に安い。同居人は真面目そうな女性が3人。キッチンがゆったりしていて、バスルームが新しくて綺麗。四階だけど、エレベーターがあるから問題無し。ただ、ここもまだ候補者が何人かいるようで、「来週末までに連絡する」とのこと。駅へ戻り、もう一つ約束をする。
 二つ目。部屋は大きいけど、細長い。棚かなんかで半分に分けて住もうかと思う程。同居人の一人が旅行でいないけれど、もう一人の同居人と話が弾んだ。彼自身は私でOKだけど、如何せん、もう一人に会わないことにははっきりしない。すっかり長居してしまい、次の約束に遅刻! 
 三つ目に向かおうと、市電の停留所から三〇分ほど遅れる旨を伝えた。すると親切なことに、「今、どこなの?」「あぁ、そこからならバス停まで歩けるよ」と色々説明してくれたんだけど、地図にある情報と合わなくて結局、市電に乗ってバス停へ向かった。「あぁ、感じ悪くしちゃったなぁ」と不安たっぷりに向かった家は、バス停を降りてすぐ。空き部屋は照明器具がなくて暗くてよく見えなかったけど、ランプを運んできてくれたので大体を見渡せた。3人の同居人の内、2人と話した。何でドイツに来たか、どういう立場なのか、どれくらい居る予定なのか、家族のこと。お母さんがよく、ドイツでカリグラフィーの展示会を開くということが効いたらしく「君のこと信用するよ」「いつ越してくる?」となった。「え? でも、もう一人いるんでしょ? その人には聞かなくていいの?」「あぁ、奴なら問題ないよ。それに、もうすぐ帰ってくるはずだよ。」前この部屋に住んでいた女性(彼らの友達の友達)が、家賃を滞納したまま突然消えてしまって、罰金を分割で払っているから、彼らにとって「信用」がとても重要だったみたい。だけどよくぞ、外国人たる私を信用してくれました。私のドイツ語が上手すぎたのかな、なんちって。3人目に会う前に、月曜日に引っ越して来ることが決まった。そして、月曜に見に来る予定だった人は断らなきゃね、と。はぅっ、こんなにあっさり行くなんて!! 3人目の同居人も帰ってきて、みんなで祝杯をあげた。

 月曜日、午前10時頃に到着し、ベルを鳴らす。一番重い鞄はクリスティアンが二階まで運んでくれた。ソファとベッドの枠をくれたけど、まだまだ家具を買いそろえる必要がある。すると、どうせ自分も同じ方角で行かなきゃならないお店があるから、と車でイケアまで連れてってくれた。イケアに行く前に書類を取りに不動産屋に寄ったんだけど、オフィスに入る前に彼が「君は今日越してきたけど、15日から住むって言ってね。そうじゃないと今日から家賃が発生しちゃうから」と教えてくれた。無愛想だけど、本当に親切な人だ。イケアではハンガー掛け、棚、机用の板(板を乗せる台はくれた)、ゴミ箱、寝具やそのカバー、洗濯物入れ、延長コード、照明、ちりとりと小さなブラシのセット、部屋が広いから遊べると思ってサッカーボール型のクッションを購入。全部で約150ユーロ。あと、ベッド用にマットが必要だったんだけど、イケアでも最低134ユーロ、街のベッドマット屋の最低価格が199ユーロ。結構高い。けどクリスティアンがあらかじめネットオークションサイトを覗いてくれていて、「ネットで買った方がいいよ」ということになった。諸々を買い込んで家に戻り、組み立てた。2メートルある棚を壁に固定するのに、クリスティアンはあれこれ道具を持ってきて試してくれた。やたら器具を持ってるなぁと思いきや、彼、趣味で家具を作ったりするんだって。そしてオークションサイトを確認。値段は30ユーロくらいで止まっている。引き取りに行くためのガソリン代が10ユーロだということなので、50ユーロまでなら払う、と伝えるとネットオークションに慣れているクリスティアンが、制限時間の数秒前に「52ユーロ」と入力した。すると‥‥1ユーロ差で競り落とした! 翌日、また彼が車を出してくれて、無事、マットを手に入れることができた。引っ越して来て二日間で、必要な家具が全て揃った。机用の椅子もくれたし(でも、椅子はいずれちゃんとしたのを買おうと思う)、机用のランプももう一人の同居人であるマーティンマティアスがくれた。カーテンはないけれど、すだれがあるので問題無し。
 部屋は20平方メートル(12畳)で、天井が高いのでかなり広く感じる。通りに面しているけど、夜は殆ど車が通らないし、窓が二重になってるから騒音は気にならない。男所帯なので、家に入ってくるとタバコ臭と男臭がするけど、私の部屋は臭わない。ネットはケーブルをくれたからすぐ繋がった。バス停から歩いてすぐ、路面電車の停留所からは2分。安いので有名なスーパーとなんでも揃うスーパー、それにドイツの典型的なファストフードであるドナーケバブの店がそれぞれ徒歩2分圏内。唯一の問題があるとすれば、シャワー用カーテンが付いていないこと。シャワーを浴びる時は、湯船の中に座って水が飛び散らないように注意しなきゃいけない。だけど私が座ると湯船の中にスッポリ収まるので、カーテンがなくても大丈夫。それに家を決めた以上、重要なのは、ここに慣れて自分のスタイルを築くこと。家賃と光熱費、ネットや電話、テレビなど全て併せて200ユーロ弱で、私が両替したレートだと27,000円くらい。食費はこれから計算するけど、200ユーロ見ておけば十分だと思う。

 これから、語学学校と大学の入学手続きをします。日本でもそうだったけど、本当に、どうやってお礼をしたらいいのか分からないくらいに、たくさんの人が私を助けてくれます。最も、私の人生に於いて、お礼というお礼はまだ誰にも出来ていないんだけれど‥‥。