講演のお知らせ

 これは行っておくべきなんだと、私は勝手に思ってる。

『哲学と精神医学のあいだで ―ラ・ボルド精神クリニック院長 ジャン・ウリ氏を囲んで―』
日時:8月8日 13時から17時 
場所:明治大学駿河台校舎研究棟2階 第9会議室(リバティータワー裏)
入場無料、予約不要、同時通訳つき


ジャン・ウリ以外に、合田正人(明大)、鬼海典子(看護士、武田病院)、三脇康生精神科医仁愛大学)、多賀茂(京大)、宇野邦一(立教)、川幸司(精神科医)、ジャック・レヴィ(明治学院大)が参加。

 
 ジャン・ウリとは、言うなれば「ガタリの兄貴分」だそうだ。ガタリへかなりの影響を与えた人物であるのはほぼ間違いない。ガタリはウリが始めたラ・ボルド精神クリニックでずっと働いていたのだが、このクリニックは「鍵のない病院」としてその道の人びとの間ではかなり有名だとか。ラ・ボルド・クリニックに住む人びとは、毎年夏になると家族らを招待し、野外劇場で演劇を披露するという。その舞台の練習風景を追ったドキュメンタリー(下記)があるので、講演会に足を運ぶ前に是非観ておくといいと思う。誰が患者で誰が医者、ないしは看護人なのか区別が付かない程、(月並みな言葉になるけれど、)和気あいあいとした病院だ。だが勿論、批判の声がない訳ではない。なぜならこのクリニックではかなりの量の薬を患者に与えているし、電気ショック療法なども行われているそうで、「鍵のない」というポジティブなイメージとは懸け離れた面をも持ち合わせているからだ。(もっとも、私は、薬やら電気ショックやらがどれだけいけないことなのかよく知らないので、それらがどれ程の「批判」として成立しうるのか、分かりかねる。余談だが、脳の一部を切除するロボトミーのような治療には反対。)
 クリニック自体についてはこれくらいにして、少しガタリとウリとの関係について触れておく。上述したように、ウリはガタリにとって欠くことのできない重要な人物であったようだ。ガタリによる様々な概念――その多くがドゥルーズ、もしくはドゥルーズ=ガタリの手に渡り大暴れした――は、ウリやラ・ボルド・クリニックでの経験なしには創出され得なかったことだろう。
 とりあえず私は、既に亡くなっているガタリの兄貴分がまだ生きていて、しかもこの糞暑い中来日している、というだけで何だか興奮してしまう。


ニコラ・フィリベール監督『すべての些細な事柄
(原題:La moindre des choses に忠実に訳すと『最も些細な事柄』になるそうだ。)
http://www.eurospace.co.jp/detail.cgi?idreq=dtl983416944
http://cineaste.jp/l/973.htm