放射線の人体への影響

一言に「被曝」と言っても、外部からか内部からなのか、どれくらいの量をどのくらいの時間、浴び続けたのか、などと様々なレベルがある。詳しい分野などは分からないが、研究で放射線を浴びている人たちと、知識があまりなく、「放射線」という言葉をなんとなく恐れている人たちとの間では、認識にかなりの温度差がある。私はどちらかというと後者の方なので、詳しいことは分からないし何の保証もできないが、普通に暮らしていて浴びる量が1年あたり日本では1ミリ・シーベルト、ドイツでは2,2ミリ・シーベルトCTスキャンでは部位によって異なるが5〜30ミリ・シーベルトだそうだ。胸部レントゲンでは0.06ミリ・シーベルト。勿論、「わざわざ浴びたい」というものではないが、大前研一さんという方は福島原発について解説する中で「MITで研究中、口から入っちゃったんですよ」とケロリと言っていた。半減期50年のものを食べちゃってからまだ50年経っていないので、未だに体内に残っているという。子どもや妊婦の場合は事情が異なると思うが、それ以外の人たちにとっては200ミリ・シーベルトくらいから癌発症率が高まり、500ミリ・シーベルトあたりからは実感が出来る症状として、軽い頭痛が出ることがある。そしていわゆる致死量というのは1000ミリ・シーベルトとされている。福島第一に関して、多分一番最初に出た具体的な数字は、「福島第一の正門付近で一時間あたり1050マイクロ・シーベルト=1.05ミリ・シーベルト」というもの。(日経新聞の記事に1050「ミリ・シーベルト」と誤記があった。これじゃ本来の1000倍になってしまう。)そして被曝した住民の方で最も数値が高かったのが40マイクロ・シーベルト以下だという。変な言い方になるけれど、普段から被曝している研究者なんかに言わせれば、もしかしたら「その程度で何を騒いでいるのか?」ぐらいに思うのかも知れない。ただ、放射線による害が怖いのは、東海村JCO臨界事故で亡くなったお二人が見た目は普通だったということからも分かるように、見えないところから、じわじわと根本的に人体が破壊されていくという点。この恐ろしさだけは肝に銘じたうえで、素人目からは「そんな呑気でいいもんなの?」と食ってかかりたくなる研究者の許容量の広さをクッションにして、報道される数値についてどれだけ危険なのかを考えれば、今のところパニックにならなくても済むはず。また報道では「通常の何とか倍」という言い方が多いけれど、これは何も言っていないに等しい。「通常」がどのくらいかなんて、素人は知らないんだから。また、年間に自然から浴びているとされる量も多いところで10ミリ・シーベルトあったりするらしい。